本日の朝奇美企業、奇美美術館創設者、許文龍先生が逝去されました。
96歳。
人、芸術、音楽、企業を愛し、利他の精神で台湾の現在を作り上げた功労者の一人です。
父劉生容と二代に渡り、私たち家族との音楽の絆が諸々の思い出を作り出しました。
長年許文龍先生の成し遂げられた諸々の業績を見てきて、私が名付けた「奇美精神(奇美Spirits)」とは、賢く計画し、従業員と協業の業者の調和と幸せを一番に考え、精一杯本業に力を注ぎ、利益を出す。
しかし、その利益を独占せずに、幅広く世の中に還元し、芸術、音楽を心から愛し、保護し、みんなと享受し、人間の心を平和に、そして前向きにする精神。
「奇美精神」は、古い「日本精神」をベースにした今日の「新しい台湾精神」の生まれるきっかけを作りました。
許文龍氏を偲んで、去り行く偉人の一端をもっと知って頂くため、私の友人で作家の平野久美子氏が21年前の2002年に、台南での許文龍氏への取材でSAPIO誌に書いた文をお読み頂ければ嬉しいです。
写真は奇美博物館の旧館時代のものです。今の時代にとって、許文龍氏の人生哲学と実践、はますます学ぶべきものがあるのではないでしょうか。
SAPIO(2002年4月24日号)許文龍氏の記事(PDF)
許文龍氏についての感動的な思い出は数えきれませんが、東日本大震災への慰問と支援の演奏会のため、奇美博物館のバイオリンの名器2本を、福島の原発事故の二週間後に岡山に届けて下さった時のエピソードを私が書いた文でお読み頂ければ嬉しいです。