台湾の台南の奇美博物館から世界の人々への最高のプレゼントが届きました。
以下動画を御覧ください。
名曲ハルヴォルセンの「パッサカリア」をバイオリンとチェロの銘器を取っ替え引っ替えして演奏するという最高の贅沢です。
バイオリンの魏靖儀(William Wei)は2015年のエリザベート国際コンクールで優勝するなど、ひしめき合っている台湾の若手バイオリニストの中でも更に抜きん出ている世界で活躍するバイオリニストです。私と同じ台南生まれとは嬉しいですね。
実は、5月の高雄市立美術館の開幕演奏会で使用させて頂いた奇美博物館の門外不出の銘器(この映像の中でも使用しております)1722年製ストラディバリ「ヨアヒム=エルマン」が奇美博物館より数年間魏氏に貸与されることとなりました(このバイオリンが長期貸与されるのは初めての事です)。もしかしたら、日本でこの銘器の音が聞けるかもしれませんね。
映像の最後に使われているチェロが世界最古のチェロ、1566年製アンドレア·アマティです。
映像をご覧になってお気づきでしょうか。
曲の合間に場所を変え、楽器を変えて演奏してますが、何と、バイオリンとチェロは同じ名工が作った楽器で、しかも限りなく製作の時期が近いものを使っています。と言うことは、それぞれの名工の各種の(バイオリン、ビオラ、チェロ)作品が潤沢に集蔵されていると言うことです。
世界何処でもこれ程の贅沢な事は出来ないでしょう❗
10年前までには、奇美博物館所蔵の世界最古のチェロ1566年アンドレア·アマティは貴重過ぎて、その時にはほとんど誰にも触らせませんでした。ストラディバリのチェロ2本が束になってかかってもかなわないこのチェロの音が多くの人々に届けられる(しかも無料で!)のはとても嬉しいです。
実は奇美博物館の楽器コレクションの中でバイオリンとチェロの名弓も百本以上あります。
弓が違えば、同じ楽器でも音が違ってくるという位弓も大事です。
この映像の中でも恐らく弓も変えているかもしれません。
とにかく贅沢の極み。
奇跡的な事です。
全ては許文龍という一人の人間が作り上げた桃源郷です。
許文龍氏が20歳くらいの時に私の父の家でエルマンのレコードを一緒に聞き、バイオリンに目覚め、情熱を持ち続けた事で今の境地に至っておられます。
高雄市立美術館での開幕演奏会にエルマンのストラドを貸して下さったのもそのような因縁からでした。