ルース・スレンチェンスカの最大の理解者の日本の音楽評論の重鎮、濱田滋郎氏のルース先生のサントリーホールコンサート評を再度送らせて頂きます。氏は昨年逝去されました。
濱田氏の事ですが、氏は私が制作したCD「ルース・スレンチェンスカの芸術」の2004年の最初から19枚目のVol.10まで、全てに「レコード芸術」誌で特選盤に推薦して下さいました。
個人レーベルの出版CDで取り上げられる事はまず無い上、特選盤への推薦は前代未聞ですが、1ヶ月に数十枚の新譜CDを聞いて、批評を書かなくてはいけない中で、商業主義に毒されずにルース先生の演奏の内容の素晴らしさと貴重さを最初から最後まで称賛して下さった濱田氏は真の感性を持たれた音楽愛好者と言えます。人生の最後に実演で、本当のピアノの音を聴かれ、もって瞑目すべし、と思います。
蛇足ですが、ルース先生の10組19枚のCDは一部のファン以外には全く知られておりません。濱田滋郎氏がこれだけ「レコード芸術」誌で絶賛の文を10数年書かいてくれても。
これがクラシック音楽界の実情でもありますが、私は今でもこれからも本当のピアノの音を聴きたい人のため、そして何よりも、ルース・スレンチェンスカの演奏という、人間の歴史上で成し遂げられた最高の境地の記録を残せたので、ありがた過ぎる人生を送らせていただいたと感謝するのみです。
「私はピアノの練習を一生懸命するので、後はあなたに任せる」
とルース先生が言うので、私は
「とにかく先生は私の後について歩いて来れば良いです。ピアノの前に来たら、座って弾くだけでです。」
と言い、二人三脚でもありましたし、それで10数年間ルース先生にペテンをかけて来たようなものです。
それでも、2017年湯原温泉での先生の送別会の宴会でルース先生が挨拶を求められ、
「とにかく、ドクターミフネの後に付いていったら、いつも何処へ連れて行かれるのかさっぱり分かりません!」
と仰いましたので、薄々気がついておられたようですが😅