今日2月1日は旧暦の元旦。台湾のほうでは、今日が正月です。
虎年ということで、私の父、劉生容が1970年頃に描いた虎の絵を見て頂ければ嬉しいです。
恭賀新年!
実はこの絵は家族を養う為に父が売り絵で描いたものです。
50年前に抽象画を買う人はいないので。
大衆が分かるような絵ということで売る為に描いたものです。
しかし、それでも劉生容という画家の独創性とこだわりがあり、油絵の絵の具でビロードの生地の上に描いたのは父が最初かもしれません。(キャンパスよりも断然絵の具の乗りが難しいようです)
よく見れば、虎の毛の一本一本が数千本以上描かれていますし、お土産的な絵であっても、手を抜いていないのがわかると思います。
劉生容という画家は、いわゆる「オレは芸術家だ」、という無用なこだわりを持たない、柔軟な考え方の持ち主です。家族を巻き添えにしてまで、自分の創作だけを突き進める破滅型の芸術家ではありませんでした。
私の記憶では、生計を立てる絵を描いている時間のほうが、本業の抽象画を描くのよりも多かったという印象です。
このような感じの絵を大小様々なサイズで200枚以上は描いたでしょうか。もちろん抽象画よりも売れてましたが。
父の努力なくして、我々兄弟の今はなかったと思います。