14年前、2007年4月12日の朝10時、ルース·スレンチェンスカが青空快晴の下、岡山県北山頂の千年桜醍醐桜への奉納演奏を行いました。
醍醐桜が12日間満開を保ったまま待ってくれたというのは、地元では奇跡として語り継がれています。
当時ルース先生と年齢の近い醍醐桜の地元の年配の方々は、今や一人もおられません。桜のまわりの住民も2家族10人弱となりました。
千年桜にだけピアノを聞かせましょうと、一番良い杉板でステージを作り、クララ·シューマンのピアノを山頂まで運び、アメリカから82歳のピアニストを連れて来て演奏してもらうという、気違いじみた事が、この日本で再び起きる日が来るでしょうか?
実は、ルース先生の醍醐桜への奉納演奏が奇跡的な大成功に終わった中での最大なミステリーは、演奏会の1ヶ月前に、私(三船文彰)が急に地元の方たちを集めて、予定していた4月16日を12日に変えるよう説得した事でした。
単なる「不吉な予感がする」という曖昧な理由で。
結局は、桜は4月1日に満開を迎え、12日まで満開のまま持ちこたえ、ルース先生の演奏中に散り始め、花吹雪となり、その午後には花は全て散り、翌日から曇り始め、最初の予定していた16日は大雨でした。